はじめまして
- 当サイトの管理人です。
およそ20数年前、高野山親王院前官中川善教大僧正の名著 『高野紙』 を拝読して以来、すっかり高野紙に魅せられてしまいました。それから、ちょくちょく山を下って中坊佳世子さんの紙漉を見学に行くようになりました。
当時、すでに高野紙を漉く人は、中坊佳世子さん、お一人だけでした。中坊さんの漉く高野紙の特色は、小判の萱簀を13枚使って、十分に水を切りながら漉くことにあります。これは手漉き和紙では、別格の古い技術だそうです。美しく無駄のない動作は感動的です。そして、なにより驚いたことは、楮の切り出しから抄紙まで、すべての作業をほとんど一人でこなしておられたことでした。
高野紙は、古くから高野山のお寺の聖教や古文書の料紙として利用されています。「高野版」を刷る紙としても知られるところです。江戸時代頃に「高野版」で刷られたお経の料紙には、中坊さんの漉いた紙と同質のものがあったように記憶しています。
残念ながら、このような伝統ある高野紙が、今、まさに消え去ろうとしています。
この記録は、私が高野山霊宝館在籍中、昭和62年と63年の冬、中坊さんの漉く高野紙を調査撮影したものです。選出の写真はピンぼけばかりですが、今となっては撮り直すこともできず、そのまま使うことにしました。
とりあえず、中坊さんの高野紙製作の工程とその魅力をまとめておきたいと思っています。どうぞよろしくお願い申し上げます。 合掌
金沢市 宝泉寺 辻 雅榮
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