高 野 紙 見 聞 録

昭和62年・63年 名匠 中坊佳世子さんが抄造する高野紙の記録
 高野紙の製法を弘法大師から教えられた、と里の人々は信じています。
  かつて高野山のお寺の経本などに用いられ、繁栄を誇ったのは、もう語り草‥ 
 ここに、またひとつ、美しい伝統が消え去ろうとしています。
  ひょっとすると、これが滅亡寸前の高野紙の最終リポートになるかもしれません。
 

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紙漉きはお大師さんに教えられた‥

仏 さ ま か よ  
お 大 師 さ ん は  
紙 を 古 沢 に 
遺 し お く 音符


 これは、故中坊君子さんが、よく口ずさんだ「高野紙すき唄」の一節。

『弘法大師行状絵詞』巻第十二「仙院臨幸」にみられる古沢の紙漉き 高野紙はお大師さん(弘法大師)からその製法を教えられたと、里の人は信じています。

 もちろん、これには直接の史料はありませんが、応安七年(1374)から康応元年(1389)の十五年間に完成したとされる『弘法大師行状絵詞(京都・東寺所蔵・重要文化財)』巻第十二「仙院臨幸」の段には、古沢の紙すきの風情が描かれています。寛治二年(1088)の白河上皇高野御幸の御途中に描かれている紙すきは、すでに、このころ高野下(古佐布荘)で紙が漉かれていた事実の傍証となるようです。

なお、本図は「世界最古の紙すき図」ともいわれています。

 南北朝時代に完成した弘法大師の伝記絵巻に高野下の紙すきの風情が描かれていることは、高野紙のおこりが、さらに時代をさかのぼることを告げています。

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